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日常が刺激的に!湯川秀樹著『旅人』

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みなさん、こんにちは!わろたんです。
いやまずお前誰やねん!という方はこちら→運営者情報

英語版記事: Your Daily Life Becomes Fantastic!!”A TRAVELER” by Hideki Yukawa

今回は、湯川秀樹著『旅人』を紹介していこうと思います。

初めに断っておきますが、この記事では私がこの本を読んで普段の生活がどういう風に変わったかということに主眼をおいて書いたものであり、この本の内容の論評をするとかいうものではありません。
まぁ、気楽に読んでください。
最後にこのページの目次を置いておきます。見出しを見て、おもしろそう!と思っていただけたものから読んでいただけるとうれしいです!!


旅人 ある物理学者の回想 湯川秀樹

湯川秀樹って誰やねん!

ごめんなさい。ちょっと気に入ってます。この表現。笑

理系の人なら、その名を口ずさめば勇気と根性が湧いてくるような湯川博士ですが、知らない方のために簡単に紹介します。

湯川博士は今日、原子核物理学と呼ばれる分野で活躍した人物です。

原子核物理学なにやら物騒な名前ですね。
しかし、みなさん原子というのはどこかで聞いたことはあるのではないでしょうか。
小学校か中学校で習うように現在我々は、すべてのものが原子から成り立っていると思っています。

なんか丸いボールの周りを変な小さな玉がくるくる回っている、あれですね。

真ん中に丸いボールがあって、その周りを小さな玉がクルクル飛び回っている

あれの真ん中にある大きなボール、あれが原子核です。
イメージできましたか?

今回の原子核物理学というのは、まさにあのボールについて研究する分野なのです。

ところであのボール、どのくらいの大きさなのか想像できますか?

なんと0.0000000001 mです。
わかりやすく言うと、みなさん1円玉は見たことありますね。あれを100億等分してください。
そのうちの1つ分の大きさが原子核です。
とても小さな世界の話なんですね。

そんなわけで私たちからしたら色々奇妙な現象が起こります。ここでは話しませんが。
何かの機会に記事にするかもしれません。

当時、電子というマイナスの電気の存在というのは明らかで、原子が電気的に中性(全体として電気がプラマイゼロ)なこともわかってました。
なので、この電子のマイナス分をどこかで打ち消さなければなりませんでした。
それで、色々調べてみた結果、どうも原子核にはプラスの電気がたくさん詰まっているらしいことがわかってきました。

ここで1つの疑問が湧きます。

どうして、プラスの電気があんなに小さな場所に固まっていられるのだろう?

みなさん、同じ種類の電気、プラスとプラス、マイナスとマイナス、は反発することを知っていますね。
なので、あんなに小さなボールにプラスの電気が集中するのは普通あり得ないことです。
今みなさんが思い描いている原子のイメージ、あれは実はとても奇妙なものなんですね。
実際過去にさかのぼってみますと、ブドウパンモデルと呼ばれる原子はプラスの電気とマイナスの電気がもわっと散らばったものだ、という考え方が主流になった時期もあったんです。

ブドウパンモデルにおいて、
レーズン=マイナスの電気
周りの白いモヤっとしたもの=プラスの電気

レーズン=マイナスの電気
周りの白いモヤっとしたもの=プラスの電気
といった感じです。

この考えはヨーロッパで流行っていました。
何しろ、これならプラスの電気が一か所に集中するという、奇妙なことは考えなくて済みますからね。

ただ、ラザフォードという実験家が金の原子にアルファ線という粒をぶつけて、どうも原子の真ん中に何か硬い塊があるらしいことがわかってきました。
これは非常に具合が悪いです。
でも現実は現実です。
これを説明するモデルを考えなければ仕方ありません。

当時、もう一つ原子のモデルがありました。
それがナガオカモデルと呼ばれる、今みなさんのイメージしている原子なんですね。
実験としては、こちらが正しいことになったんです。
かくして、実験的にも今みなさんのイメージする原子が正しそうだということになりましたが、依然として問題が残っています。

なんでプラスの電気が一か所に集中していられるの???

この問題に真面目に取り組んだ人がたくさんいて、湯川博士もそのひとりだったんですね。
それで(詳細は省きますが)非常に短い距離で、非常に強力に働く接着剤のようなものがあればそういうことは可能だということを、理論的に示しました。
これが今日、\(\pi\)中間子理論と呼ばれるものなんです。
湯川博士は原子核の大きな謎を解いた方なんですね。

このように文章にするのは簡単なことですが、
実際に数式で示すというのは難しいですよねぇ

湯川秀樹著『旅人』~私のお気に入りのシーン~

この本は\(\pi\)中間子の理論的予測によって日本人で初めてノーベル物理学賞を取られた湯川秀樹博士の、幼少期から30歳くらいまでの半生を書き記した自伝です。

私がこの本を読もうと思った動機は、ノーベル賞を取るような人間はいったいどのような人生を送ってきたのか、それを知ることは大事なことなのではないかと思ったからです。
言い換えれば、彼らの思考の断片でもつまみ食いをすることは自分の人生に深みをもたらすのではないかと私は思うのです。(しかし、あまり人の思考回路を真似しても、それほど意味がないなと最近は思い始めています)
そんなわけで私は自伝というものを読み始めたわけなんですねぇ。

私のお気に入りのシーンは湯川博士が幼少のころ、どこかの神社で鬼ごっこか何かをしていたシーンです。
湯川博士は疲れて、地べたに寝っ転がったそうです。
そのときの地面に映る木漏れ日の映像が、妙に少年湯川の心をとらえました。

そして湯川博士が「中間子論を思いついたとき、不意にこのときの景色が頭をよぎった」そうです。
確かに言われてみれば、あの木漏れ日の様子と、先ほどお見せした原子核の描像は似ています。

このように、物理をやっていてよかったなぁと思うのは

思いがけないタイミングで、思いがけないことが類似していることに気づく

ということだと思います。
そしてこのことを、それらしく書ける湯川博士もすごいと思います。

このようなことに気づかされてしまうと、もう大変です。
普段から木漏れ日が原子核に見えてきます。
病気です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
なんだか、原子核物理学の紹介をしたら、そっちがメインみたいになちゃいました。笑
この本は大学院当時の湯川博士の葛藤が色々と描かれているので、大学院進学を考えている方や現役大学生などは読んだ方が良いと思います。
このブログを通して、物理学という分野の素晴らしさが少しでもみなさんにお伝えできれば幸いです。


旅人 ある物理学者の回想 湯川秀樹

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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