少し前に\(\Gamma\)関数についてお話しました。
→ガンマ関数についてのお話~階乗の一般化~
そこではいわゆる階乗(!のやつ)の一般化として\(\Gamma\)関数を定義しました。ここではもう少し進んで2つの整数を組み合わせて考えてみましょう。
以下のような流れで説明していきます。ご自分のご興味に合わせて読んでみて下さい\(^^)/
ステップ1~階乗を2つ掛け算してみよう~
ここでは2つの整数\(m,n\)の階乗の掛け算を考えてみます。
以前お話した\(\Gamma\)関数と階乗のつながりを考えると
\(\begin{eqnarray}
m ! n ! &=& \Gamma\left(m+1\right)\Gamma\left(n+1\right) \\
&=& \int_{0}^{\infty}t^{m}{\rm e}^{-t}{\rm d}t\int_{0}^{\infty}s^{n}{\rm e}^{-s}{\rm d}s \\
&=& \int_{0}^{\infty}\int_{0}^{\infty}{\rm d}t{\rm d}s \,t^{m}s^{n}{\rm e}^{-\left(t+s\right)}\end{eqnarray}\)
となります。指数の肩がいい感じなので変数変換 \(t=x^{2},\,s=y^{2}\)を考えます。このとき\({\rm d}t=2x{\rm d}x,\,{\rm d}s=2t{\rm d}y\) となるから
\(\begin{eqnarray}m ! n ! &=& \int_{0}^{\infty}\int_{0}^{\infty}2x{\rm d}x2y{\rm d}y\,x^{2m}y^{2n}{\rm e}^{-\left(x^{2}+y^{2}\right)} \\
&=& 2\cdot 2\int_{0}^{\infty}\int_{0}^{\infty}{\rm d}x{\rm d}y\,x^{2m+1}y^{2n+1}{\rm e}^{-\left(x^{2}+y^{2}\right)}\end{eqnarray}\)
\(x=r{\rm cos}\theta,\,y=r{\rm sin}\theta\)とすると
\(\begin{eqnarray} m! n! &=& 2\cdot 2\int_{0}^{\infty}r{\rm d}r\int_{0}^{\pi/4}{\rm d}\theta\left(r{\rm cos}\theta\right)^{2m+1}\left(r{\rm sin}\theta\right)^{2n+1}{\rm e}^{-r^{2}}\\
&=& 2\cdot 2\int_{0}^{\infty}r{\rm d}r\int_{0}^{\pi/4}{\rm d}\theta \,r^{2\left(m+n+1\right)}{\rm cos}^{2m}\theta\,{\rm sin}^{2n}\theta\,{\rm e}^{-r^{2}} \\
&=& 2\cdot \underbrace{2\int_{0}^{\infty}{\rm d}r\,r^{2\left(m+n+1\right)+1}{\rm e}^{-r^{2}}}_{=\left(m+n+1\right)!}\int_{0}^{\pi/4}{\rm d}\theta\,{\rm cos}^{2m}\theta\,{\rm sin}^{2n}\theta\end{eqnarray}\)
ステップ2~なんか見たことある形ですなぁ~
実はこの\(r\)の積分のところは\(\Gamma\)関数になっています;
前回の記事の\(\Gamma\)関数の定義で\(t=x^{2}\)とおくと
(関連記事: ガンマ関数についてのお話~階乗の一般化~
\(\begin{eqnarray}z! &=& \Gamma\left(z+1\right) \\
&=& \int_{0}^{\infty}{\rm d}t\,t^{z}{\rm e}^{-t} \\
&=& \int_{0}^{\infty}2x{\rm d}x\,x^{2z}{\rm e}^{-x^{2}} \\
&=& 2\int_{0}^{\infty}{\rm d}x\,x^{2z+1}{\rm e}^{-x^{2}}
\end{eqnarray}\)
ここで\(z=m+n+1\)とするとバッチリ一致しますね。従って
\(\begin{eqnarray}m! n! &=& 2\left(m+n+1\right)!\int_{0}^{\pi/4}{\rm d}\theta\,\cos^{2m}\theta\,\sin^{2n}\theta\end{eqnarray}\)
ゆえに
\(\begin{eqnarray}2\int_{0}^{\pi/4}{\rm d}\theta\,\cos^{2m}\theta\,\sin^{2n}\theta = \frac{m! n!}{\left(m+n+1\right)!}\end{eqnarray}\)
実はこの左辺が\(\beta\)関数と呼ばれているもので、散乱の問題とかでよく出てきます。
\(\begin{eqnarray}B\left(m+1,n+1\right) &\equiv& 2\int_{0}^{\pi/4}{\rm d}\theta\,\cos^{2m}\theta\,\sin^{2n}\theta \\
&=& \frac{\Gamma\left(m+1\right)\Gamma\left(n+1\right)}{\Gamma\left(m+n+2\right)}
\end{eqnarray}\)
グラフにして見てみよう
\(\begin{eqnarray}B\left(m,n\right) &=& \frac{\Gamma\left(m\right)\Gamma\left(n\right)}{\Gamma\left(m+n\right)} \\
&=& 2\int_{0}^{\pi/4}\,\cos^{2\left(m-1\right)}\theta\,\sin^{2\left(n-1\right)}\theta\,{\rm d}\theta\end{eqnarray}\)
ところでこの被積分関数はどんな形をしているのでしょうか。試しに\(m=1\)で固定しておいて\(n\)をどんどん増やしてみましょう。
これを見ると\(n\)が大きくなるにつれて\(\beta\)関数の値は小さくなっていき、なんとなーく0に収束しそうな気がしてきます。
実際、\(\beta\)関数の階乗を使った定義
\(\begin{eqnarray}B\left(m,n\right)=\frac{\left(m-1\right)!\left(n-1\right)!}{\left(m+n-1\right)!}
\end{eqnarray}\)
を見ると、\(m\)を固定して考えれば分母の方が\(n\)が1個だけ多いので整数\(n\rightarrow \infty\)で\(B \simeq\frac{1}{n}\rightarrow 0\)となりますね。
また\(\beta\)関数が\(n\)と\(m\)について対称なので\(m\)を大きくしても同じ結果が得られますね。
ベータ関数関連ではウォリスの公式(Wallis’ formula)など数多くの公式が存在します。この辺についても後々記事にしていこうと思いますので
みなさん、応援よろしくお願いします(^_^)/
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は\(\beta\)関数と\(\Gamma\)関数のつながりについて書いてみました。
レポートなどの参考になれば幸いです。
他にも色々と数学に関することについて書いています。参考にしてみて下さい!
→「数学」一覧
また、\(\Gamma\)関数について書いた記事もあるので合わせて読んでみて下さい!
→ガンマ関数についてのお話~階乗の一般化~
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
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