みんにちは!わろたんです。
以前、階乗(!のやつ)に関する記事を書きました。
今回は、階乗の和を計算してみましょう!
自然数の階乗
ある自然数\(n\) の階乗とは以下で定義される自然数です。
\(\begin{eqnarray}
n! \equiv n\left(n-1\right)\left(n-2\right)\cdots 3\cdot 2\cdot 1
\end{eqnarray}\)
さて、1~nまでの階乗の和
\(\begin{eqnarray}
S_{n} \equiv \sum_{k=1}^{n}k!
\end{eqnarray}\)
を考えてみましょう。
\(\Sigma\)の中身を変形する
直接求めるのはちょっと難しいので、少し式変形をします。
順列\(_{n}P_{k} = \frac{n!}{\left(n-k\right)!}\)を使って、
\(\begin{eqnarray}
S_{n} &=& \sum_{k=1}^{n}k! \\
&=& \sum_{k=0}^{n-1}\left(n-k\right)! \\
&=& \sum_{k=0}^{n-1}n!/ _{n}P_{k} \\
&=& n!\sum_{k=0}^{n-1} 1/ _{n}P_{k}
\end{eqnarray}\)
実はこの和は求めることができます。
\(\Gamma\)関数の出番です
以前紹介した、\(\Gamma\)関数を覚えているでしょうか。
今回はその亜種、不完全\(\Gamma\)関数というものの出番です。
不完全\(\Gamma\)関数は以下で定義される関数です。
\(\begin{eqnarray}
\Gamma\left(a,x\right) \equiv \int_{x}^{\infty}{\rm e}^{-t}t^{a-1}{\rm d}t
\end{eqnarray}\)
\(a>0\)としておいて、\(\Gamma\left(-a,x\right)\)を部分積分すると
\(\begin{eqnarray}
\Gamma\left(-a,x\right) &=& \int_{x}^{\infty}{\rm e}^{-t}\frac{1}{-a}\frac{{\rm d}}{{\rm d}t}t^{-a}{\rm d}t \\
&=& \frac{1}{-a}{\rm e}^{-t}t^{-a}|_{t\to\infty}-\frac{1}{a}{\rm e}^{-x}x^{-a}-\frac{1}{a}\int_{x}^{\infty}{\rm e}^{-t}t^{-a}{\rm d}t \\
&=& -\frac{1}{a}{\rm e}^{-x}x^{-a}-\frac{1}{a}\Gamma\left(-a+1,x\right)
\end{eqnarray}\)
漸化式が出てきました。これを繰り返し適用していくことにより
\(\begin{eqnarray}
\Gamma\left(-a,x\right) &=& -\frac{1}{a}{\rm e}^{-x}x^{a}-\frac{1}{a\left(1-a\right)}{\rm e}^{-x}x^{1-a}-\frac{1}{a\left(1-a\right)\left(2-a\right)}{\rm e}^{-x}x^{2-a} \\
&-& \cdots -\frac{1}{a\left(1-a\right)\left(2-a\right)\cdots\left(n-a-1\right)}{\rm e}^{-x}x^{n-a-1} \\
&-& \frac{1}{a\left(1-a\right)\left(2-a\right)\cdots\left(n-a-1\right)}\Gamma\left(n-a,x\right) \\
&=& {\rm e}^{-x}\sum_{k=1}^{n}\left(-1\right)^{k}\frac{1}{ _{a}P_{k}}x^{k-a}-\Gamma\left(n-a,x\right)
\end{eqnarray}\)
\(a=n,\, x=-1\)とすれば
\(\begin{eqnarray}
\Gamma\left(-n,-1\right) &=& {\rm e}\sum_{k=1}^{n}\left(-1\right)^{2k-n}\frac{1}{ _{n}P_{k}}-\Gamma\left(0,-1\right) \\
&=& \left(-1\right)^{n}{\rm e}\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{ _{n}P_{k}}-\Gamma\left(0,-1\right)
\end{eqnarray}\)
いい感じになってきました。\(\sum_{k}\frac{1}{ _{n}P_{k}}\)が含まれる式を出すことに成功しましたね!
この式から
\(\begin{eqnarray}
\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{ _{n}P_{k}} = \left(-1\right)^{n}{\rm e}^{-1}\left[\Gamma\left(-n,-1\right)-\Gamma\left(0,-1\right)\right]
\end{eqnarray}\)
従って、
\(\begin{eqnarray}
S_{n} &=& n!\sum_{k=0}^{n-1}\frac{1}{ _{n}P_{k}} \\
&=& n!\left[\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{ _{n}P_{k}}+\frac{1}{_{n}P_{0}}-\frac{1}{ _{n}P_{n}}\right] \\
&=& n!\left[\left(-1\right)^{n}{\rm e}^{-1}\left[\Gamma\left(-n,-1\right)-\Gamma\left(0,-1\right)\right]+1-\frac{1}{n!}\right] \\
&=& n!\left(-1\right)^{n}{\rm e}^{-1}\left[\Gamma\left(-n,-1\right)-\Gamma\left(0,-1\right)\right]+n!-1
\end{eqnarray}\)
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は階乗の和を求めてみました。
整数の和ですが、整数の中で話が収まりませんでした。
数学ではしばしばそういうことが起こります。不思議ですね。
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